Su LOVE展はね、こないだ実は見に行って、
S マジで!?
T ああ、どうでした?
Su 俺はすごく楽しめた。
S おお!
Su あの、なんか途中まで行くと、向こうではChim↑Pomが気合いだ気合いだって騒いでて、
S (笑)
Su こっちで、ジョン・レノンが愛を語っているっていう、
一同 (笑)
Su いろんな入り乱れた愛が、
T なかなか
Su いろんな愛の形が、
S すげえ。
T カオティックな
Su ま、良くも悪くも雑多
S ふーん。
Su な、いろんな愛がある。
T 愛とは雑多なものだという一つのね。
Su これは僕もう一回行っても良いなあって。
T へええ。
Su あと、もう全く全然演劇とかアートとは関係ないけど、恵比寿でやるビアフェス。
T ああ!良いなあ。
S 良いなあ、オクトーバーフェスト(日比谷)も、こないだまでやってたんだよね・・・。
T それは是非行きたいですなあ。
Su それに行こうかなって。
S 酒のみたいよ~。
T (笑)
S のみたいよ~。
T ノンアルコールで・・・。
I とりあえず、今週、いや、6月入ってからかな。今やってるフィリップ・ジャンティ行こうかなって。
Su ああーっ!
S え、何なに?
Su パルコ?
I パルコ。
Su あ、あれ?今週から?
I もう始まってる。
Su ああ、そうか。
I フィリップ・ジャンティ行って、6月は半ばにマギー・マラン。さいたま?
S さいたまですね。
I あと、SPAC行こうかなと思ってて、ちょっと、でも、今・・・クロード・レジが売り切れって聞いて、
S そう、レジはもう早々に売り切れらしいですよ。
Su ああ、そう。
I すごいショックを受けて、もう、なんか、立ち直れない感じなんだけど、
S (爆笑)
I なんであんなちっちゃいとこでやるかなあ。まあそういう公演なんだろうなと思いつつ。
T そうですねえ。
I そうなんだよなあ。ちょっと今ね、あの、えーっと、ま、SPAC何か一本行こうかなあと。
T えー、僕は6月静岡に二回行きまして。
I ああ。
T で、ポーランドの母よ、父なる国に生きる母よ。えーと、えー、(冊子をめくって)5人の女性と1人の男性からなる、歌とコミカルな踊りと、という、これは見に行こうかなと。もう一つが、HateRadio。これは、あの(冊子をめくる)
S 後ろの方に載ってる。(冊子をのぞいて)あ!そうそう!
T えーと、スイスとドイツとルワンダの共同制作で、えー、まあ冷戦終結後最大のジェノサイドと言われるルワンダ虐殺の事件の裏に、そのー、ラジオが関わっていたと、その、ラジオのDJをめぐる作品、ということらしいです。この二つはとりあえず見に行こうかなと。
I あとは、あ、フランス映画祭っていうのが始まるんですよ。
S ほお!
一同 ほお。
I フランソワ・オゾンのね、結構良いのがあるんですよ。あとは、あ、あとは、都現美でやってるね、フランシス・アリス展に行こうかなあと。
S へええ!
T (調べて)フランシス・アリス展って、なんか面白そうですね。
I 都現美のね、これ面白い。前期かな?今やってるの。
T メキシコ編。ジブラルタル海峡編。
I 今メキシコ編のほうやってるのかな?
T 「砂塵を巻き上げる竜巻の中へカメラ片手に突入する。」
S ええっ!?
Su へえ。
T 「朝から晩まで、メキシコシティの街なかで巨大な氷を溶けるまで押し続ける。」
一同 (笑)
T 何これ?
S 気になる、すげえ気になる!
T 「様々なプロジェクトを世界各地で行ってきて、そうした記録映像や写真や物語を持って、多様な形で展開していく」と。
I うん。これはちょっと注目。
T 面白そうだなあ。
S すげえ気になる。
T こういう一発芸好きなんだよなあ。
S 分かる分かる。
S では、ここで、わたくし、あさこちゃんからお預かりしているリストを。えーっと、世田谷美術館でやってる。企業コラボ展覧会がちょっと気になってると。なぜかというと、近代の生活消費文化や女性像に関わってるものなので、と。
I うん。
S 百貨店の企画展示をやってるんだよね?
I 百貨店?
T 百貨店展?
S えーと、暮らしと美術と高島屋!
一同 ほお~。
S 去年?やなぎみわの演劇プロジェクトで、あの、村山知義についてやったんですよ。
I うん。
S そのときにも、案内嬢っていうのが、狂言まわし的に出てきてる。
I ふーん。
S で、私もちょうど少し前に聞いて、あの、明治40年代頃に、西洋の文化と日本っていうのが生活レベルで出会ったポイントって、実は百貨店で、西洋からの化粧品なんかを売り出したっていうのが出会いだったらしいんです。
T ふーん。
S で、更に、企業メセナのはしりとして、百貨店が演劇や芸術を保護しているんですね。
I うん。
S だから、実は百貨店と芸能っていうのは、かなり関係がある。と、ちょうど私も興味を持ってたところなんです。
一同 ふーん。
S あと、ワタリウムのJR展?
I うん!JRね!JR混んでるらしいですよ。
S やばい!気になる!ちゃんとね、「鉄道じゃないよ」って注意書きを入れてくれてる。
I うん。結構人入ってるらしい。
T あの、ワタリウムのJR展っていうのは?
S JR展・・・でしょう?鉄道じゃないよ!
T 説明が見られない。
S あたし検索したら出てきたけど?
T うん。出てきたけど、説明が見当たらない。(調べて)えー、「インサイドアウト・プロジェクトに参加されるお客様は毎日早目の時間にご入場下さい。」
I あ!
S え、何なになに?どういうこと??
I すごい混んでるらしい。行ってからのお楽しみ。
S ええっ!
T 「夕方からの入館ですとプロジェクト受付が終了となる場合がありますのでご了承下さい」
I うん。ものすごい混んでるらしい。
S ええっ!なんの騒ぎ!?
T インサイドアウト・プロジェクトって何?
S インサイドアウトって裏返し?
T 内側外って何?
I それは行ってからのお楽しみ。
S え、どういうこと?
T まあ、はい。
S やばい、それちょっと行かなきゃ。その午後から行くのはダメだよっていうのが気になる。ポイント高いよ。
I (笑)
I ぼくはそれでいうとね、ハネケ、今回の愛・アムールで二作連続でカンヌでパルムドール取ってるんですよ。
T おお。
S あれ、その前って?
I その前は白いリボンってやつなんだけど、この白いリボン、僕は大傑作だと思っていて、で、大傑作だと思っているんだけど、でも、えーと、愛・アムールに関しても、ハネケらしいところってのは随所に見られる、で、実は、最後ああなるっていうのは、デビュー作といっしょなんですよ。
一同 へええ。
I デビュー作のね、セブンス・コンチネントっていうのが、家族が借金で首がまわらなくなって、えーっと****をはかるっていう映画なんだけど、
T うーん。
I それがね、3人家族で家の中に引きこもってる、外に出なくなっちゃう。で、引きこもった家族が******、みたいな
T ふう。
I で、あ、これ一緒じゃんみたいな。
一同 (笑)
I ていうのがあったりとか、作中にこうラジオが流れてくる場面とかあるんだけど、あれ、結構ハネケの中で常套手段っていうか、
S うん。
I 新聞読んでるシーンとかね。あれもよく使うんですよ。時事ネタというか。
S 時事ネタで入れてくる?
I 時事ネタで入れてくるケースが多い。なので、あそこら辺は見てると、あ、こういう形で日常を入れてくるんだみたいなのはハネケらしいなとは思ったのと、あの、えーと、電動の車いすでブーンって、で、ガゴンとぶつかるところとか、あの、あれ、普通の人は笑わないと思うんだけど、あれ、僕は笑えるシーンだと思っていて、あ、ああいうの入れるのは、けっこうハネケっぽい。
T・S ふーん。
I そこ笑えるのは人としてどうかなっていうのをあえて入れてくる。そこで笑いを取るっていうやり方。ハネケっぽい。
S 私、でも、逆に、このラジオはなんで入るのかなっていうのは、ちょっと考えちゃったでんですよ。なんかあるのかしらって。
I えーと、ある場合と、ない場合がある(笑)
S やばい(笑)
I 今回は、ない。
S ないバージョン。
I うん。
S なるほどね、でも、閉鎖空間で、家の間取りを観客が覚えちゃうくらい。だから、「あっちがキッチンでしょ」って分かるようになってくる。
I うん。
S で、いろんなノイズとかをけっこう拾うじゃないですか。
I はいはい。
S だから、家に帰ったときに、すごい耳が敏感になってて、ものすごい遠くで鳴ってる音が聞こえたりする。
I ああ。
S そういう感覚がコントロールされるのは面白いなと。
T 二時間ほぼ、挿入曲をかけないわけですよね。
I うん。
T 生音に敏感に、基本的には静かに展開していくので、なんか、耳がね、耳に全神経集中していくみたいな。
Su ふーん。
T 終わった後耳が少し変になる。
I うーん。
S あれってよくあることなんですか?
I えっと、ハネケの作品はこれが、ぼくは、ドグマ以降って言い方してるんだけど、ドグマ95っていう、ラース・フォン・トリアーの映画運動があるんですよ。どういうのかというと、ま、例えばハリウッドの商業映画に対して批判的なやり方をしてるわけ。まず、CGとか使わない。で、えーと、いくつかルールがあって、その、ドグマ純潔の誓いって言って、あの、例えば音楽はサウンドトラックとして挿入しない。
T・S ああ。
I その場で鳴ってるか、その場で演奏されてるのは良いけど、映画を盛り上げるために音楽を使っちゃいけないとか、で、殺人は、必要に迫られない限り安易なやつは禁止とか、
一同 殺人禁止(笑)
I あと、撮影の手法としては、三脚使って撮っちゃいけないとか
T へえ。
I あの、不自然な照明使っちゃいけないとか。
S へええ。
I そういうあの、要するに、なんて言うかな、あの、リアリティの追及っていうかな、そういう映画運動があるんですよ。ドグマ映画っていうと、ジャンルとしても確立していて、
S ふーん。
I で、多分、ハネケも、少なからず影響は受けてると思う。
S うん。
I 彼の映画も、やっぱり不必要なライティングしないし。あと、音楽に関しても、その場で鳴ってる音楽以外、基本、鳴らさない。
T・S うん。
I で、けっこうその辺の、不必要な演出とかあんま入れない。
S ふーん、そうなんだ。
I その代わり、すごいディテールの、あの、演出っていうのは、めちゃめちゃこだわる人なんで、僕、あの今回ビックリしたのが、ま、半身不随になっちゃって、ピアノが弾けなくなるじゃないですか、で、ピアノに座っていて、音がしていて、でもそれ実はCDだったってシーンがあるんだけど、で、そのシーンで、弾いてる姿見えないんだけど、よく見ると、足元がペダルを踏んでいないんだよね。
T・S うーん。
I 弾いてないっていうのが分かるようになってる。で、セリフとしては一つも分かるところがなく、よく画を注意して見ないと分からないんだけど、非常に細かい演出を施していて。
S あ、えーと、お母さん、いやお婆ちゃんが、けっこう上流階級のピアニストなんだけど、超美人なのが、どんどん、ボロボロになっていくっていう・・・。
I で、そのボロボロになっちゃうのが、すごいね、あの、うまく作られてるっていうか、あのね、95パーセント成功すると言われてる手術で、5パーセントの確率で失敗しちゃうんですよ。
Su おお。
I で、半身不随になっちゃうっていう。その、そういうところにリアリティがあると、僕は思っていて。
S うん。基本大丈夫だからってみんな手術するわけで、
I そう。
S でも100じゃないわけですよ。
I そこでね、失敗してああいうふうになっちゃうっていうのが、物語としてのリアリティというか、そういうふうに僕は思った。元々病人・・・かもしれないけど、これ治るだろうってところを、
T うーん。
I こう、奈落の底に突き落とすわけですよ。
S いやあっ!
T 不治の病だという救いすらない。
I そうそう。
T 結局なんの病気だったのか、最後まで出てこない。
I 出てこない。
S う、うう、うう。
T じゃあもしかして、あそこで、無理やり手術を受けさせないほうが良かったんじゃないかとか・・・。
I そうね、そういうとこもあるね。
T そう、その辺の、その、どうにもならない、あの、絶望感みたいなものが、どんどん、どんどん、どんどん追い込まれていく感じが
I うん。
T 感じが、たいへんに、僕は。しかも美しく描かれている。
I ああ。
T 全く汚いところが出てこない。下の世話とか基本的には出てこないし。
I うん。
T なんだけど、境目がない。ここで、明らかにもう、だめってところが出てこない。少しずつ、少しずつ、日常が描かれていって、最後に至ってしまう。
S おじいちゃん、けっこう冷静なんだよね、ずっと。
T で、最終的に妻を、******という。
Su うーん。
S だから、この夫婦、どこで、どうしたら助けられたんだろうって、さっぱり分からないと思って。
I ああ。
S いや、やっぱり、一応、**までいっちゃうのは、ちょっとなあって・・・。
I 助けたいとは思うんだ?
S 助けたいというか、これ、どこで起こってもおかしくないから、どうしたら未然に防止できるんだろうって・・・。
I ああ、そっか、なるほどね。
S だから、どこの段階で気付けば良かったんだろうって。だっておじいちゃんずっと冷静だしみたいな。
T 致命的な失敗があったわけでもないし。
S ないし・・・みたいな。
T 最善を尽くしているように見える・・・。
I まあでも、その中でも、もう、我慢ができなくなる瞬間みたいなのが、やっぱりちゃんと描かれていて、横っ面、ひっぱたくとか
S ああ。
I 流れとしては、その、整然としているというか、
S うーん。
I もう、もう我慢ならんみたいなところ、そういうのはちゃんと描けていたと僕は思う。
T ユーロスペースでやるベルリン・アレクサンダー広場というのは、あれは、なんか、むかーしね、10年ぐらい前に、日本語の字幕をつけて一挙上映
I うん、やったやった。
T っていうのを、ごくごく小さくやったんだけど、14話15時間ぐらいので。それをね、ユーロスペースで一気に、えーっと一日二話くらいずつ
S レイトショーで
T 一週間くらいかけて
S 夜21時頃から
T 僕もそのとき、最後の一話だけ見たんですけど、もう、むっちゃくちゃ、あの、元々のその、原作が、デーブリーン、あの、20世紀の都市文学のはしりみたいな人ですけど、ベルリンという大都市、20世紀前半の大都市の群像劇、非常に長大な小説ですけど、一人の、ま、朴とつな男が、いろいろこう、悪人にもまれたり、なんか、いろいろして、流れ流れて落ち着くところに落ち着くというものですけど、最後の一話はほんとに、こう、その男の妄想が展開していって、脈絡もなければ、次から次へといろんなイメージが映像化されていく。で、いきなり最後、ぽんと終わる。
Su ふーん。
T 非常に衝撃的な、かなりよくできた?というか、まあ、監督のファスビンダーというのも、ニュージャーマンシネマの鬼才と言われる人で、劇作家でもあるんですけど、ま、いろんな意味ですごい作品らしいので、ちょっと見に行っても良いかなあと。
Su うん。
I ああ。ファスビンダー・・・すごい、よね。
S 私、でも、映画のほうを知らなくて、戯曲で、ファスビンダー気に入って、一時期。映画はどうなんですか?
I 映画、も、き、鬼畜・・・系というか、なんというか。
S きちくけ、いやあっ!
I だから、その、多分ね、さっきのハネケも、その流れというか、えーと、影響あると思う。その、ニュージャーマンシネマ、鬼畜系として、
S (笑)
I (笑)有名なのは、ファスビンダーとヘルツォーク。
S あ、そうなんだ。
I うん。
S その、鬼畜系という分類が、初めて聞いたから動揺していて。
一同 (笑)
I いや、ほんともう、すごいよ。大丈夫ですかこれ、みたいな。
S やばい。
I あの、えーっと、ファスビンダーも、その、障がい者とか出してる。映画の中で。ヘルツォークも、こう、小人の人を出して、小人が、こんな(でかい)バイクに乗るみたいな。
一同 (笑)
I ていう、それ、足届いてないですよねみたいな。そこを面白がってやってるっていうね。
S なんか、ちょっと、トリアーの話も良かったら聞きたいんですけど、ファスビンダーと言えばやっぱり、ちょっとユダヤ人問題でもめたことがあるんですよ。
I はいはい。
S いまだにユダヤ博物館には、ファスビンダーが作った問題作をみんなで覆したぜ、みたいなので名前が出てきちゃう。
I はいはいはい。
S で、トリアーも、2011年でしたっけ?もっと前?
I あ、フォン・トリアー!2011年!メランコリアね。
S ヒトラーの気持ちが分かるっていう発言。
I そうそうそうそう。
S でも、文脈によってはとも思うんですけど、どう?
I えっとね、だからね、あれね、フォン・トリアーが言いたかったのは、その、うーんと、ナチスというか、その当時覆っていた、その、ある種の「滅びの美学」みたいなことを映画の中でやりたかった、メランコリアの中で。で、それを、まあ、映画祭で、ナチスのときの、まあ、ヒトラーの気持ちが分かるみたいに言ってしまったので、まあ、えーと、それをなんていうか、カンヌの関係者は真に受けたというか
S うん。
I ま、お前映画見てないだろうみたいな話なんだけど。
一同 (笑)
I 発言だけしか聞いてないだろう。
S (笑)
I みたいな、まあ、そういうことだよね。結果としては。
S やっぱりそういうことなんですよね。
I で、まあ、フォン・トリアーのほうも、その後は、えーと、ちょっとまあ、カンヌには作品多分出せない・・・のかな?
S 一応、日本の記事ではそう書いてありますね。
T うーん。
I けど、一応暗躍はしてるので(笑)
S 暗躍(笑)
I 暗躍、してるんですよ。だから、今年の、アカデミー賞にノミネートされた作品なんだけど、ロイヤル・アフェアっていうデンマークの映画があって、で、それは、えーっと、製作総指揮だけをやっていて、監督としてはタッチしてない。で、えーっと、去年のカンヌで主演男優賞取ったマッツ・ミケルセンって、デンマークの俳優さんなんだけど、この人の作品が、トマス・ヴィンターベアって人の作品。で、この人が、ラース(フォン・トリアー)の弟子なので、言ってみれば。
S あ、そういう関係なんですね。
I で、けっこうデンマークの映画界では、ラースがけっこう発言権が
S 暗躍している。
I 大きいわけですよ。
S そっちから来たのか!
I さっき言ったドグマ95の、主宰でもあるわけ、ラースは。デンマークの作品は、そこにけっこう応募してくるので、ま、例えば、脚本だけラースがやるとかっていうケース
S ふーん。
I ま、そんな感じで自分の作品は出せないけど、そういう形で暗躍してる(笑)
一同 (笑)
T 息のかかったのを使って。
S なるほど(笑)。ファスビンダーもそうですけど、ほんとにユダヤ人を迫害したり、ナチスを礼賛するわけはあるまいと。なんでこんなニュースになっちゃったんだろうというのは気になっていて。
I うん。だからそこはね、読み取るべき人が読み取ってないわけですよ。
S うん。
I だから、ナチスがどうのっていう点で言うと、あの人、あー、アンゼルム・キーファーって人がいるんだけど、ドイツの、で、ナチス、をモチーフにした作品で問題提起をするわけ。
S うん。
I で、アンゼルム・キーファーに関して言うと、自分の弁が立つっていう(笑)。
一同 (笑)
I ま、ちゃんと一から十まで説明するわけですよ。逆にこういうふうなテーマがあって、モチーフとしてナチスを使った。なので、逆に、これが問題作品だと定義するほうが問題なんだと。
S おお!
I ということを言うわけですね。で、ファスビンダーにしても、ラースにしてもそうなんだけど、なんていうかな、あの、メタファーとして、なんか言った場合、それをこう、真意をくみ取ってくれないっていうケースがけっこうあったりして、迫害を受けるみたいな(笑)
S 迫害(笑)
I いや、だから、構図としては完全にそうなってるんですよね、あれ。
T いや、つい先日、日本でも少し話題になりましたけど、ドュッセルドルフのオペラ座で、ローエングリンを
S タンホイザーだよ。
T その演出家が、あれ?タンホイザーだっけ?
S タンホイザーだよ、だから、詩人の、あの、こう、ヴェーヌス
T そう、アフロディーテに溺れてしまった結果、身を
S そう、あまり倫理上よろしくない(というのが現代人にはピンと来ない)アフロディーテ的なものに憧れて身を滅ぼしちゃうという話なんですよ。
T そう、それが現代人には、なんでそれが罪になるのか分からないから、誰が見てもこいつは滅びないといけないというふうにならないといけないと。その理由づけをするには、ナチスにすると。舞台をガス室にして、タンホイザーという騎士が、ナチスの将校みたいにした。ところが、初日で大ブーイングをあびて、ま、熱狂的な拍手もあったらしいですけど
Su うん。
T ものすごい批判が来て、二日目からは上演中止、その、コンサート、オケだけやると、いう、近年まれに見るオペラ界の、スキャンダル?になっている?のかな?まあ、雑誌のSpiegelなんかのインタビューで、演出家が「これは芸術に対する検閲じゃないか」と。「10ヶ月もかけて、こう、いろんな人と話をしながら、できた。そういう経緯をたどれば、僕の意図というのはくみとれるだろうし、で、今までどうして誰もこの作品をこういうふうに解釈しなかったんだろう。そっちのほうが僕は不思議だ」と。ナチスっていうものに、我々の理解を絶するほどの拒否反応っていうのが、やっぱあるんですよね。
S でもさ、催涙ガスまいて、「いや、でも、芸術の自由は担保する」っていう、ドイツ(の表現の自由に対する感覚)が、そこの、ガス室でストップをかけるって、ビックリ。
I うーん(笑)。
S あ、昔、ですね、カストルフという人がエーミールと探偵たち?
T エーミールと探偵たち。
S で、舞台上に事故で催涙ガスをまいたんですよ。それで
T 警察沙汰になった。あ、でも一応ね、演劇雑誌の巻頭で、警察署のなんか偉い人が「確かに事件だけど、基本的には芸術の自由というのは担保されなければならない」という意見記事を載せてて、
I・Su うーん。
S すげえなドイツ!ってそのときは思った。
T すごいなと思った。
S それでも、ガス室って演出は中止になると。
T まあ、ワーグナーという人が、やっぱナチズムとねえ、
I そうね。
T 関わりがあったというか、ヒトラー自身が、ワーグナーが大好きだった。そういう文脈もふまえれば、より過敏になるのも、分かる、けどねえ・・・。
I なんかドイツで今「ユダヤ人」って展示をやってる作家がいて。
T あの、ベルリンのユダヤ博物館ですね。あの、ユダヤ人を、ボックスに入れて、一日、時間交代で、自由に話していいっていう、そういう展示。
S・Su ええっ!
T リーベスキントの建築の、ユダヤ博物館。
I まあ、生身の人間展示するのは、まあ、ありがちっちゃありがちだけど、
S まあそうですね。でも、それはできると。
I まあ、できるんだけど、けど、やっぱり、こう物議をかもしてはいるらしい。
T うん。確かに物議をかもしている。ユダヤ人団体から、度を越しているという批判が。
I そうそう。同胞からの抗議を受けている。
T 結局今、ドイツにいるユダヤ人が少ない、という。1パーセントもいないので、逆にドイツ人がユダヤ人てものと直接触れ合う機会がない。
S ふーん。
T そういうところから発想された企画らしいですね。