[演出ノート]
今回の作品は、日本の近代文学を代表する作家の一人である太宰治の書いた『待つ』を題材にしたものです。わずか4ページの短編で、毎日毎日何者かを待っているという女性の独白です。
ベケットの『ゴドーを待ちながら』のように、待つことは現代にも通じる永遠のテーマだと言われています。が、私は、待つこと、待たされることの美とは何なのか、全く理解できません。正直に言えば、「待っているなよ」とすら思います。
これは、幼稚なことでしょうか?夢がないですか?傲慢ですか?
そこで、私は、待たずに、執念深く男を追いかけ、果ては大蛇となって、自分を置いていった男を焼き殺した女性をぶつけてみることにしました。道成寺伝説の清姫です。
毎日毎日何かを待ち続ける『待つ』の語り部と、待たなかった清姫。
待つ者と待たざる者が舞台上で出会います。
→寄稿文
[公演日程]
2010年9月17日 la Escalera de Jacob
2010年9月18日 ESPACIO RONDA(マドリッド日本文化祭)
[出演・スタッフ]
構成・演出 坂田 尚
ドラマトゥルク 寺尾 恵仁
出演 坂田 尚
音響編集 濱田 直希
衣装 佐藤 愛
企画・製作 6.5/w